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活動報告

外国にルーツを持つ子どもの支援講座(基礎編)を実施しました

  • 公開日:2019年09月10日

8月27日(火)に「外国にルーツを持つ子どもの支援講座(基礎編)」を開催しました。

日本語ボランティア、国際活動団体、学校関係者、保育関係者、教育委員会、行政職員、一般県民等、幅広い参加者がありました。子どもの支援について多くの方に関心を持っていただき、当該講座では、過去最多の65名の方に受講していただきました。

■山口県の外国人住民の現状・山口県国際交流協会の取組

講座の導入として、協会職員が山口県における外国人住民の状況と協会の取組についてお話しました。県内の外国人住民数は過去最高の16,591人(法務省調査・平成30年12月末時点)、県内人口の約1.2パーセントとなっています。公立学校に通う日本語指導が必要な児童生徒は外国籍70名、日本国籍36名(平成28年度文部科学省調査)がいますが、今後も増加することが予想され、子どもに対する支援の充実が求められています。当協会では6月に「やまぐち外国人総合相談センター」(県受託事業)を開設し、多文化共生コーディネーターや多言語相談員が多言語で幅広い相談に応じています。また、学校や教育委員会、保健センター等に通訳・翻訳サポーターや日本語ボランティアの紹介等を行っています。

■下関市における外国にルーツを持つ児童・生徒の現状取組

【梅光学院大学非常勤講師 當房 詠子 氏】

4年前から下関市で外国にルーツを持つ子どもの支援に取り組まれている當房講師に事例発表をしていただきました。當房講師が実践されている夏休みの子ども向けの日本語教室や、学校関係者等を対象とした日本語指導“出前”研修等について紹介がありました。

子どもたちは日本語習得の壁や文化の違いなどで多くの悩みや課題を抱えながらも、十分な支援を受けられていないケースも多く、様々な機関が連携した体制スキームの構築についてご提案いただきました。また、子どもたちの日本語指導のために活用できる既存のツールや教材もたくさんご紹介いただきました。

■だれもが安心の中で育まれる社会へ~外国にルーツを持つこどもも、ともに~

【NPO法人エスペランサ 理事 堀西 雅亮 氏】

島根県出雲市で外国にルーツを持つ子どもの支援や多文化共生の推進に携わっている堀西講師にご講演いただきました。出雲市では行政・企業・NPO・地域コミュニティ・ボランティア等、様々な機関が連携・協働して子どもの支援を行っており、日本語初期集中教室、保護者向け学校・保育園・幼稚園説明会、放課後教室、多文化サマースクール、母語教室、子どもたちの職場見学の受け入れ、地域の団体との交流等、今後の参考となる素晴らしい取組についてご紹介いただきました。

後半はグループに分かれ、ワークショップを行いました。3つの事例を想定して、子どもたちが抱える課題について検討し、どのような地域資源(組織・サービス等)に繋いでいけばよいかを話し合いました。講師からは、既存の組織やサービスを「多文化仕様」にしていくことや、外国人特有の背景等を理解しながら様々な機関をつなぐコーディネーターの重要性についてご助言をいただきました。

■子どもたちへの日本語指導~何から教える?どう教える?

【一般社団法人HOPEプロジェクト 代表 二口 とみゑ 氏】

広島県で長年子どもの日本語指導に携わってこられた二口講師に、子どもたちへの関わり方、日本語指導のポイントについてご講演いただきました。

子どもたちには国籍・言語・年齢・家庭環境・経済環境・学習経験等、多様性があり、「個に応じた指導」が求められること、子どもたちが興味を持つ内容から教えていくこと、身近なものを何でも教材として活用すること等についてお話いただきました。

最後に呉市で日本語教室の活動を行う伊藤さんにも登壇いただき、自立・自律を妨げない支援を行うことや、地域の日本語教室は外国人支援の場ではなく地域住民も共に学ぶ多文化共生の場として捉えていること、教科学習を意識しながら日本語指導を行っていることなど、豊富な実践に基づくアドバイスをいただき、参加者の方からも大変好評でした。

<参加者の皆様からいただいたアンケートの感想の一部をご紹介します>

・自立を妨げない支援、様々な人・組織による包摂の大切さという話が印象的だった。

・日本語教育の推進に係る法律が最近施行されたと知り、驚いた。

・支援の連携が大切。地域資源の洗い出しをしてみたい。

・その子その子に合った支援をという点が一番参考になった。

・子どもたちを取り巻く環境や現場での取組について、生の声が聞けてよかった。

・子どもの問題やその家庭への支援の問題でもあると思うので、親への支援についても知る機会があると良い。

・公的な支援はやはり必要だと思った。

・「外国人」とひとくくりにされることもあるが、「子どもの支援」に特化して講座を開催しているのは有意義だった。


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